【高分子科学 合成から物性まで】この1冊で事足りる!まず初めに読んで欲しい1冊!特徴、レベル、使い方を紹介!!

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化学

高分子の研究・開発をすることになったんだけど、どの教科書から始めたらよいの?

「素材開発」を行っている化学メーカーは多いので、化学系の企業に就職したら、大学でどんな研究を行っていたかに関わらず、「素材開発」を担当するケースはとても多いです。

「素材開発」は「高分子科学」です。バックグラウンドと異なる分野の研究は大変ですが、研究・開発を円滑に進めていくためには、まず、高分子の基礎知識を網羅的に身に付ける必要があります。

私も、大学時代は「有機化学」を専攻しており、就職してから「高分子科学」の研究・開発を行うことになりました。その際に、次の教科書で勉強しました。

この「高分子科学 合成から物性まで」は、高分子科学の研究開発を行うための基礎・知識を網羅しています。なんとなく選んだこの教科書ですが、大当たりの教科書で、高分子の必要知識を網羅でき、研究・開発を行っていく土台を構築できました。

私と同じように、メーカーに就職して、高分子の研究開発を行うことになった場合には初めにマスターして欲しい1冊です。

「高分子科学 合成から物性まで」の概要

「高分子科学 合成から物性まで」の特徴は次のようになります。

  • 高分子科学全般の基礎事項がコンパクトにまとまった1冊
  • メーカーでの高分子の研究・開発を行うには必要十分な網羅性

「高分子科学 合成から物性まで」は、高分子化学の基礎~標準程度の事項がコンパクトにまとめられた教科書です。基礎から解説してくれているので、高分子科学初心者でも円滑に学習が進められます。

メーカーで高分子の研究を行う場合に必要とされる知識のほとんどを網羅してくれています。もちろん、自分が担当する研究分野のより詳細な理論は随時学んでいく必要はありますが、その理論を学ぶための「土台」を完成できます。

メーカーで研究・開発を行う人は、必ず読んで欲しい一冊です。

「高分子科学 合成から物性まで」の難易度

「高分子科学 合成から物性まで」の難易度は下記のようになります。

  • 高分子科学の基礎から標準ちょい下程度

「高分子科学 合成から物性まで」は基礎から解説がはじまり、最終的には標準程度の難易度の事項までを解説してくれます。

そのため、難易度としては「優しい」です。難易度は「優しめ」ですが、メーカーで高分子の研究を行っていく場合の必要知識はほとんど網羅できます。また、今後より深い理論を学んでいくためには「高分子科学 合成から物性まで」程度の難易度の事項をしっかり押さえていることが必須になります。

「高分子科学 合成から物性まで」の対象者

「高分子科学 合成から物性まで」をおすすめしたい人は次のようになります。

おすすめな人
  • 有機化学の基礎を学習した人
  • メーカーで高分子の研究・開発をする人

有機化学の基礎を学習した人

「有機化学」と「高分子科学」には密接なかかわりがあります。有機化学で学んだことを使って、高分子を考えていくことが非常に多いです。「有機化学の基礎」が不十分なまま、「高分子科学」を勉強したところで効率よく知識が身に付きません。

そのため、学習する順番としては、「有機化学」→「高分子科学」の順に勉強することを強くおすすめします。「有機化学の基礎」を学ぶには、下記記事を参考にしてください。下記記事の基礎レベルの教科書を勉強しておけば、高分子科学を学ぶための基礎知識は十分に得られます。

メーカーで高分子の研究・開発をする人

「高分子科学 合成から物性まで」はメーカーで高分子の研究を行っていく場合の必要知識はほとんど網羅できます。

特に、メーカーに就職して、高分子の研究・開発をすることになった人には、はじめの1冊として是非読んで欲しい本です。

「高分子科学 合成から物性まで」のメリット

メリット
  • 必要な知識を網羅できる
  • コンパクトにまとまっている
  • 綺麗なレイアウトと分かりやすい解説

必要な知識を網羅できる

「高分子科学 合成から物性まで」は、高分子の基礎から解説がはじまります。そのため、はじめて高分子化学を学ぶ人でも問題なく使用可能です。

基礎から解説がはじまり、標準程度の事項まで網羅してくれます。メーカーで高分子の研究を行っていく場合の必要事項はほとんど網羅できます。担当する研究内容によっては更に応用的な理論は学ぶ必要が生じますが、「高分子科学 合成から物性まで」をマスターすれば、応用的な理論を学ぶための土台を完成できます。

コンパクトにまとまっている

「高分子科学 合成から物性まで」は比較的薄めの教科書です。薄い教科書であるため、短期間でやり切ることが可能です。

薄い教科書ではありますが網羅性も高いため、大変コスパの良い教科書です。

綺麗なレイアウトと分かりやすい解説

昔ながらの教科書は、文字が小さく解説も固い場合が多いですが、「高分子科学 合成から物性まで」は、文字が小さすぎず、レイアウトも綺麗で、解説も他の教科書に比べてわかりやすいです。

教科書をやり込む場合、これらはとても重要です。「高分子科学 合成から物性まで」は、この点の配慮にも優れており、読み進めるのが苦になりません。やり込む教科書としては、「高分子科学 合成から物性まで」は最適だと思います。

「高分子科学 合成から物性まで」のデメリット

デメリット
  • 基礎事項は網羅されているが、応用的な部分までは説明されていない
  • 式変形が省略されがち
  • 問題演習がない

基礎事項は網羅されているが、応用的な部分までは説明されていない

「高分子科学 合成から物性まで」は必要知識をほとんど網羅しています。ただし、「高分子科学 合成から物性まで」で解説されているのは、あくまで基礎的な内容です。担当する研究内容によっては、もう少し応用的な理論まで学ぶ必要があります。

また、「高分子科学 合成から物性まで」では触れらていない分野もあります。例えば「誘電率」という特性は、最近の素材メーカではトレンドとなっている物性ですが、本書では説明が全くありません。そのため、「誘電率」が関係する業務に携わる場合は、別の書籍などで「誘電率」について学ぶ必要があります。

「この1冊で完結できないのか~」と残念に思うかもしれませんが、不安になる必要は全くなくて、「高分子科学 合成から物性まで」をマスターすれば基礎がしっかりしているので、応用的な内容や「誘電率」のような未記載の内容を勉強する際にも、短時間・効率的に学習できます。

まずは「高分子科学 合成から物性まで」で基礎事項をしっかり学んで、必要に応じて、応用的な教科書で勉強するようにしましょう。

式変形が省略されがち

高分子の分野では数式やその数式の変形が頻出しますが、「高分子科学 合成から物性まで」の解説では数式の変形が省略されている場合が多いです。

省略された部分は自分で変形しながら読み進めるか、省略部分については「この式を変形すると最終的にこの式になるんだな」と割り切って読んで下さい。

問題演習がない

「高分子科学の知識」を効率よく吸収するには「教科書で知識をインプット」→「問題演習を通してアウトプット」の流れが重要です。しかし「高分子科学 合成から物性まで」には演習問題が付いていません。

「高分子科学 合成から物性まで」を読んで勉強した後は、問題集を購入してアウトプットをするようにしましょう。「高分子科学 合成から物性まで」の後に使って欲しい問題集については後述します。

「高分子科学 合成から物性まで」の使い方

「高分子科学 合成から物性まで」のおすすめの使い方は次のようになります。

「高分子科学 合成から物性まで」の使い方
  1. はじめの章をざっと読む
  2. その章を読み終わったら、もう一度その章を数式を自分で解きながら精読する
  3. 次の章に進む
  4. 最後の章まで進めたら、最初から周回する
  5. 別途問題集を購入して問題演習をする

はじめの章をざっと読む

まずは、最初の章をざっと読んでいき、大まかな内容・流れを掴みましょう。「高分子科学 合成から物性まで」には数式や反応式がたくさん出てきますが、最初の段階では、あまり深く考えすぎずに読んでいきましょう。

その章を読み終わったら、もう一度その章を数式を自分で解きながら精読する

ざっと読み終わったら、次はその章を精読していきましょう。この段階では数式は自分でも式変形しながら読んでいきましょう。式変形が省略されていて自力では解けない場合は、ググるなどして、調べながら式変形を行っていきましょう。反応式については反応機構を理解するために巻矢印(電子移動)も書けるようになりましょう。

自分で手を動かすことで、知識を自分のものにできます。

次の章に進む

精読が終わったら、次の章に進みましょう。次の章でも同様の方法で進めてください。

最後の章まで進めたら、最初から周回する

最後の章まで終わったら、最初から周回しましょう。1周ですべて理解できる人はいないので、必ず周回をするようにしましょう。

「周回」は地味でめんどくさい作業ですが、「周回」によって知識が定着します。2周目以降は、1周目の半分以下の時間・労力で進めていくことができるので、めんどくさがらず、最低でも3周は周回してください。

別途問題集を購入して問題演習をする

残念ながら、本書には問題が付属していません。知識の定着には、問題集を使ったアウトプットが必須です。なので、別途問題集を購入して解いていきましょう。

問題を解くことで、知識の定着・理解度の確認ができます。おすすめの問題集は姉妹書の下記です。

「高分子科学 合成から物性まで」の到達レベル

「高分子科学 合成から物性まで」の到達レベルは下記のようになります。

到達レベル
  • 基礎事項はバッチリ
  • メーカーで研究を行う土台が完成

基礎事項はバッチリ

「高分子科学 合成から物性まで」をマスターすれば、基礎事項は網羅可能です。より専門的な教科書を読み進めることも可能になります。

高分子科学は「基礎」がしっかりしているかどうかで今後の伸びが決まります。完璧な基礎を築きあげてくれる「高分子科学 合成から物性まで」は最初の1冊にとてもおすすめです。

メーカーで研究を行う土台が完成

繰り返しになりますが、メーカーで高分子の研究を行っていく場合の必要事項はほとんど網羅できます。担当する研究内容によっては更に応用的な理論は学ぶ必要が生じますが、「高分子科学 合成から物性まで」をマスターすれば、応用的な理論を学ぶための土台を完成できます。

「高分子科学 合成から物性まで」の次

「高分子科学 合成から物性まで」の次は以下の教科書がおすすめです。

「基礎高分子科学」は名著で、高分子科学に携わる人ならほとんど全ての人が知っているほどの本です。この「基礎高分子科学」は、今回紹介した「高分子科学 合成から物性まで」より少し難易度の高い教科書ですが、「高分子科学 合成から物性まで」をマスターした人なら問題なく良い進めることが可能で、スムーズな接続が可能です。

「高分子科学 合成から物性まで」のまとめ

この記事では、「高分子科学 合成から物性まで」について紹介しました。「高分子科学 合成から物性まで」の特徴を再度述べておくと下記のようになります。

  • 高分子科学全般の基礎事項がコンパクトにまとまった1冊
  • メーカーでの高分子の研究・開発を行うには必要十分な網羅性

私は、化学メーカーに就職して、未経験の高分子の分野の研究開発を行うことになり、この教科書で高分子の勉強を開始しました。結果、大当たりの教科書で、高分子の必要知識を網羅でき、研究・開発を行っていく土台を構築できました。

私と同じように、化学メーカーに就職して、高分子の研究・開発をすることになったらまず初めに読んで欲しい1冊です。

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