将来、化学メーカーに就職して研究員になることに憧れていて、今大学院で一生懸命研究したり、勉強したりしてるけど、大学で学んだ知識や研究内容は就職してから役立つの?
化学メーカに就職して、自分の専門分野と違う分野の部署に配属される場合もあるって聞いた。そんな場合は、大学で学んだことが活かせず、無駄になりそうで不安・・・。
この悩みは、私が学生時代に抱いていたものです。所属する研究室によっては、マニアックな化学を研究していたり、学術的には面白くても実用化できないような研究を行っている場合もあります。そのような研究を行っていた場合は、化学メーカーに就職してからも大学で得た役に立たないのか?
また、例えば、大学で有機化学を勉強してきた人が、就職してから電気化学を専門とする部署に配属される場合もあったりします。このような場合、大学で得た知識を活かすことができないのか?
折角、一生懸命研究をしたり、勉強したりしたのに、就職してから全く役に立たないとなるとモチベも下がりますよね?
役に立たない場合もあるなら、大学での勉強や研究活動に力をいれるより、就活などに力を入れた方が良いと考えてしまいますよね?大いに役立つなら、勉強しておきたいと考えると思います。
この記事では、大手化学メーカーで研究員をやっている著者が、「大学で学んだ知識は就職してからも役に立つのか?」について述べていきます。
【結論】基本的に役に立つ!!
結論を述べると、次のようになります。
基本的に役に立つ!
大学で勉強した知識や行ってきた研究は、基本役に立ちます。マニアックな研究内容であったり、実用的でない研究をしていた場合でも必ず役に立ちます。もちろん、研究活動を通して身につけた知識だけでなく、座学による勉強の知識も大いに役に立ちます。
ただし、もちろんこれは、化学系の研究室を卒業して、化学系のメーカーに就職した場合に限ります。化学系の研究室を卒業して、金融系の会社に就職した場合は、この限りではありません。
以降では、「大学で得た知識は入社してからも役に立つ」理由を述べていきます。
大学で得た知識が役に立つ理由
大学で得た知識が、分野関係なく活きる理由は次のようになります。
- 化学の基礎を学んでいる
- 研究の進め方・考え方が理解できている
- 化学は色々な部分で関連しあっている
- 研究室で一生懸命研究できる人は、就職してからも一生懸命働いて活躍できる
化学の基礎を学んでいる
就職してから、大学と同分野の研究を行う場合は、大学時代に研究や授業で得た知識が役に立つのはもちろんですが、大学とは異分野を研究する部署に配属されたとしても、大学で得た知識は必ず役に立ちます。大学時代に研究や授業を通して化学の基礎を勉強していれば、異分野の事項も短時間で理解できます。
また、その異分野の基礎事項を理解した後は、大学時代の専門分野の経験や知識と融合して他の人が思いつかないような面白いアイディアを発案できたりします。
そのため、将来的に異分野の部署に配属される可能性があったとしても、大学の勉強・研究は一生懸命取り組んでおきましょう。
研究の進め方・考え方が理解できている
どんなにマニアックな実験でも「実験の進め方・考え方」は、異分野の実験にも必ず活きます。
「こういう課題が見つかったから、それを改善するためにこれを試してみよう」や「一連の実験結果からメカニズムがわかってきた」などといったことは、企業の研究でも間違いなく活きます。
こういった考え方を鍛えるためにも、大学の研究はしっかりやっておきましょう。
化学は色々な部分で関連しあっている
大学で得た知識が異分野の研究をしている時に役に立つことは、たくさんあります。なぜなら、異分野であっても化学は関連しているからです。
1つの分野を徹底的に勉強しておけば、異分野でも関連事項がたくさんあるため、理解が容易になったり、関連事項として簡単に理解できたりします。また、大学時代の知識があったからこそ、新しい発見をできるケースもあります。
こういった利点もあるため、大学の研究はしっかり行って損はありません。
研究室で一生懸命研究できる人は、就職してからも一生懸命働いて活躍できる
これは、私が強く感じていることですが、大学時代に一生懸命研究を行えていた人は、就職して異分野の研究にしろ、同分野の研究にしろ、一生懸命取り組んでくれます。その結果、良い成果を挙げて、評価されます。
逆に、「大学の研究なんて就職してから役に立たない!」といっておざなりに研究をしている人は会社に入ってからも活躍できない印象です。これまでに述べてきた力が養われていないこと、与えられた業務に対して真摯に取り組めない姿勢、新しいことを勉強する意欲がわかないことが関係しているのではないかと考えています。
どんな研究室を卒業したとしても、就職すれば必ず新しい分野を研究する機会が訪れます。それに伴い、必ず新しい事を勉強する必要が出てきます。大学でしっかり勉強している人は、こういった場合にも熱意をもって、楽しみながら研究・勉強をしていくことができます。
こういったことからも、大学の研究には責任感を持ってしっかり取り組んでおきましょう。
役に立ちにくいこともある
もちろん、大学で得た知識が役に立たないこともあります。具体的には次のようになります。
マニアックな知識そのものは役に立たないこともある
マニアックすぎる知識は、役に立たないこともしばしば。化学の世界には、現段階では何の役に立つのかもわからない研究を行う場合もあるというのが正直なところです。もちろん、こういった研究も将来的には、なくてはならない技術に成長する可能性はあります。このような研究室に配属され、研究を行っていた場合、企業に就職してからは、ほとんど役に立たない可能性が高いです。
では、マニアックな分野を研究している人は一生懸命取り組まなくても良いのかというと、そんなことはありません。マニアックな分野でも一生懸命研究・勉強しておけば、他分野を学ぶ際にも必ず役に立ちます。その理由は次のようになります。
- マニアックな内容も理解できるほど勉強し解くと、他分野の基礎事項は余裕で理解できる
- 応用の効く知識が身につく
- 化学を考える頭ができる
マニアックな内容も理解できるほど勉強し解くと、他分野の基礎事項は余裕で理解できる
マニアックな研究分野というのは、往々にして、化学の基礎事項を含みつつ高度な内容にまで踏み込みます。そのため、難易度が高くなることが多いです。
このような難易度の高い研究をしっかり理解できている人は、就職してから異分野の勉強をする必要が出てきた場合もすんなり理解できることが多いです。
応用の効く知識が身につく
上の事項と同じ理由ですが、難易度の高いマニアックな内容を理解している人は、理論をしっかり理解できている場合が多く、異分野にも応用の効く知識が身につく傾向があります。
以上の理由で、難易度の高いマニアックな内容も理解しておくことはとても意味のあることです。
化学を考える頭ができる
研究を開始すると1日中研究のことを考えることになります。難易度の高いマニアックな内容を1日中考えていると、化学を考える能力が鍛えられて、化学能ができあがります。
化学能ができてしまえば、異分野の化学を研究・勉強する際にも短時間で簡単に理解できるようになります。
まとめ
この記事では、「大学で学んだ知識は就職してからも役に立つのか?」について解説してきました。結論は次のようになります。
基本的に役に立つ!
これを心に留めて、自分の研究に一生懸命になって欲しいと考えています。大学の研究を一生懸命取り組める人が、就職してからも一生懸命仕事できる人です。
また、就職してからは希望すれば部署を変更することもできます。新しく配属された部署で、大学時代の知識が役に立つことがあります。私がそうです。
悪いことは言わないので、大学での研究には熱意を燃やして一生懸命取り組んでおきましょう。必ず、あなたの糧になります。頑張った分だけ、あなたの知識になりますし、良い思い出にもなります。
現在、研究に取り組んでいる方、企業への就職を考えている方の参考になれば幸いです。
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