化学メーカーの「研究職」と「開発職」の違いは何??化学メーカーの現役研究員が違いを解説!!

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研究というお仕事

化学メーカーにおける「研究職」と「開発職」の違いとは?

化学系の研究室に所属しながら就職活動をしている人であれば、この違いを気にしている人も多いはず。私も、学生時代、企業の募集要項をを見て、両者の違いは何だろうと感じていました。

実際に、化学メーカの研究員となり、この2つの違いがはっきりと分かりました。この記事では、化学メーカーに就職を考えている人に向けて、「研究職」と「開発職」の違いを解説します。

化学メーカの「研究職」と「開発職」の違い

「研究職」と「開発職」の違いを、かなり要約して述べると次のようになります。

  • 「研究職」:製品に応用できる新しい基礎技術、既存製品の性能を大幅に向上できる新技術を探索する
  • 「開発職」:既存製品のブラッシュアップ、顧客へのサンプル提出、工業化可能な製造方法を開発する

つまり、「研究職」は、新しい技術を開発することが主な業務で、比較的大学の研究に近い部分も多いです。

一方、「開発職」は、より顧客に近い位置で顧客の要望に合わせて製品をブラッシュアップしたり、工業化する方法を考案したりします。

「研究職」と「開発職」でどちらが難易度が高い、重要といったことはなく、どちらも製品化を行う上でなくてはならない職種です。

化学メーカの「研究職」

ここからは「研究職」の主な業務内容と、「開発職」の主な業務内容を説明していきます。

まずは「研究職」の主な業務内容を述べていきます。

「研究職」の主な業務
  • 既存製品の性能を向上できる新技術の探索
  • 新製品用の新技術の開発
  • 論文執筆
  • 学会発表

既存製品の性能を向上できる新技術の探索

これが「研究職」の大きなミッションの1つです。

各会社には、手がけている製品というものが必ずあります。この製品は、既に顧客がいて、お得意さんのような会社もあります。

今は売れているこの製品も、いずれは世代交代の時を迎えて、より高性能の製品が必要とされます。「研究職」は、製品の特性を大幅に特性を向上できる「技術」を探索します。

時には、既存の技術のブラッシュアップでは、対応できないこともあり、その場合には「ブレークスルー」を起こせるような画期的な技術を開発する必要もあります。

新製品用の新技術の開発

各会社には、手がけてる製品があり、得意とする「事業領域」がありますが、まだ進出していない「事業領域」の開拓も各社、精力的に行っています。

未進出の「事業領域」では、その会社が保有していない技術が必要になることが多いです。「研究職」は、このような時に必要とされる「技術」を開発することもミッションの1つです。

その会社にとって、知見・ノウハウのない技術を開発する必要があるため、論文や他社の特許なども分析しながら研究を進めていく必要があり、難易度の高い業務の一つになります。

論文執筆

「研究職」は、発見した技術の「論文」にまとめる場合もあります。もちろん、「社外秘」の技術もあるので、上手く書く必要があったり、事前に「特許」を出願したりして、コアとなる技術が外部に流出したり、不正に使用されたりしないように配慮しながら、論文を執筆する必要があります。

また、海外の雑誌に論文を投稿する場合は、英語力が求められます。

学会発表

発見した技術を学会で発表することもあります。

この場合も、論文を執筆する場合と同様に、コア技術の保守に配慮する必要があります。もちろん、海外で発表する場合は、英会話力も求められます。

化学メーカの「開発職」

つづいて、「開発職」の主な業務内容を解説していきます。

「開発職」の主な業務
  • 既存製品の改良
  • 顧客へのサンプル提出
  • コスト試算
  • 工業化可能な製造方法の開発

既存製品の改良

「開発職」の大きな仕事の1つが、顧客の次世代品にも適用されるように、製品のブラッシュアップを行うことです。

また、顧客に採用されている製品が、他社品に置き換えられないように、常に特性を向上し、製造コストを削減することが「開発職」のメインの仕事です。

顧客へのサンプル提出

特性を向上できたサンプルを開発したら、そのサンプルを顧客へ提出して、評価してもらいことになります。その評価用のサンプルを作製・提出することも「開発職」の仕事です。

顧客によっては、多量のサンプルを要求してくる場合もあり、ラボではサンプル作成が不能なこともあります。そういった場合は、パイロットプラントを使って多量にサンプルを作製することもあります。

「実際にお客さまに使っていただき、良し悪しを判断いただく」ことは、化学品を製造・販売する上では必須です。そのため、この「サンプル作製・提出」は、「開発職」の大切な仕事になります。

コスト試算

「開発サンプル」の製造コストなどを計算することも「開発職」の仕事です。どんなに良い製品を作ったとしても、価格がべらぼうに高ければ買ってもらえません。

そのため、「開発サンプル」の作成段階から、コストを計算しながら開発を行っていくことになります。

工業化可能な製造方法の開発

開発初期は、ラボでサンプルの作製を行うことがほとんどですが、開発のステージが進んでいくと、工業的な製造方法を考える必要が出てきます。

そういった場合に備えて、「開発職」はプラントでの製造方法も考えながら開発を進めていく必要があります。

化学メーカーの中には「研究職」兼「開発職」の場合もある

私が見てきた化学メーカーの中には、「研究職」と「開発職」を兼業しているところもありました。

うまり、「基礎研究」から「製造」まで、「研究」と「開発」の両方の仕事を全て行っています。

単純に仕事量が大幅に増えるので、とても大変ですが、「基礎研究」から「製造」までを一貫して行うので、化学メーカーの技術者としての実力が大変養われます。

こういった「研究職」兼「開発職」の体制を取っているメーカに就職した場合は、業務は大変かもしれませんが、とても実力が付くため、どこの会社に転職してもやっていけるようになるケースが多いです。

まとめ

この記事では、化学メーカーの「研究職」と「開発職」の違いを解説しました。

結論をもう一度述べると次のようになります。

  • 「研究職」:製品に応用できる新しい基礎技術、既存製品の性能を大幅に向上できる新技術を探索する
  • 「開発職」:既存製品のブラッシュアップ、顧客へのサンプル提出、工業化可能な製造方法を開発する

つまり、「研究職」は、比較的大学の研究に近い面があります。一方、「開発職」はお客さんに近い立ち位置で、新製品を販売まで手掛けます。

どちらも、化学メーカーにはなくてはならない重要な業務です。

化学メーカに就職したい人の幸いになれば幸いです。

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