「機械学習を使って実験を進めても上司が理解してくれない…」
「マテリアルインフォマティクスの必要性を説明しても響かない…」
有機化学・高分子化学の研究現場でも、データ駆動型の研究の重要性は年々高まっています。しかし、上司世代はAIに馴染みがないケースも多く、機械学習の有用性がなかなか響かないのが現実です。
本記事では、
- 機械学習を理解していない上司の特徴
- NGな報告方法
- 研究職が使える実践的な対処法
- 最終的に評価を勝ち取る方法
を解説します。
なぜ上司は機械学習を理解できないのか?
上司世代の多くは、以下のような研究スタイルが主でした。
- 実験主導
- 仮説を立てて検証する
- 化学的な考察
一方、これかの時代は、従来の研究スタイルに加えて、下記のようなDX活用型の研究スタイルが必須になりつつあります。
- 従来同様、実験と化学的な考察
- マテリアルインフォマティクスを活用した研究開発
- ここにテキスト
上司世代に方は、実験主導の開発を行ってきたため、「マテリアルインフォマティクスを活用した研究開発」の重要性を理解できていない人が多いです。また、この世代の人は「研究・開発は根性でたくさん実験するもの!」という謎の固定観念を持っている人も多いです。
また、マテリアルインフォマティクスの重要性は理解しているものの、具体的にどう活用すれば良いかわかっていなかったり、そもそも「機械学習とは何か」さえ理解できていない人も多いです。
こういった理由で、上司世代の人は「機械学習」をなかなか理解してくれません。
機械学習を理解しない上司のパターン
「機械学習」を理解しない上司は、おおむね下記のパターンに当てはまることが多いです。
- 機械学習を学習しようとしない
- 実験しないと意味がない
- 統計的な解釈より化学的な理由が優先
機械学習を学習しようとしない
また、AIや機械学習は若手の人の方が理解できているケースが多いです。上司世代の方はAIや機械学習に疎く、これから新たに「機械学習」を勉強することに抵抗を覚えている人も多いです。
そういった上司は「自分の知識の範囲内」でしか物事を考えようとしません。そういった人は「機械学習」を用いた検討を報告しても、自分の知識の範囲外であるため、なかなか響きません。
実験しないと意味がない
上司世代の人は、朝から晩まで実験を行って製品開発をしてきました。そういったこともあり「実験こそ正義!」という感覚が染みついています。
そのため、机の上でPCをカタカタしてモデル構築をしている人に嫌悪感を抱く人も多く、「機械学習」の有用性が認めようとしない人も多いのが現実です。
統計的な解釈より化学的な理由が優先
「機械学習」は統計的な解釈をします。逆に、「機械学習」だけでは、化学構造にまで踏み込んだ「化学的な解釈」は行えません。
上司世代の人は、これまで「化学的な解釈」で検討をしてきています。そのため、どうしても化学的な解釈や考察を欲しがる傾向にあります。そのような上司に「統計的な解釈のみ」を報告しても、なかなか受け入れてくれません。
「機械学習」を理解しない上司が求めているもの
「機械学習」を理解しない上司を満足させるには、その上司の求めているものを理解しておくことが重要です。「機械学習」を理解しない上司が求めているものは、多くの場合、以下の2点です。
- 「自分の知識の範囲内」で議論ができる事項
- 売り上げにつながるような「目に見える成果」
「機械学習」を理解していない上司に対して「機械学習」を使った研究結果を報告をしても響かないのは、上司自身が議論に参加できないからです。自分が議論に参加できない事項(畑違いの分野)をどんなに熱心に報告したところで、上司に響かないのは当然です。
また、もう一つの原因は、「機械学習」の結果だけでは、具体的な成果(優れた製品や技術)が得られないからです。企業の上層部(上司の上司にあたる人)は「売り上げに繋がる製品」や「他の製品を更に発展させるための技術」を作れたかどうかで評価を下します。そのため、「機械学習」による解析結果だけを報告しても意味がなく、実際の実験データや製品とセットで報告する必要があります。
上記の2つのパターンに当てはまる場合、上司に「機械学習」を用いた研究報告は響きません。
やってはいけない報告方法
上記のように「機械学習」を理解しない上司は「自分の知識の範囲内」で物事を考え、「自分のスタイルが正しい」という固定観念を持っており、自分が議論に参加できない事項を嫌います。また、「機械学習」による解析結果だけで、目に見える成果が無い場合も受けつくてくれません。
そういった上司に対して、下記のような報告をしても、まず受け入れてくれませんし、場合によっては怒りを買います。
- 「機械学習」のみの報告
- Pythonコードを見せる
- 化学的な解釈なし
「機械学習」のみの報告
良くありがちな例ですが、「機械学習」を理解しない上司に対して、「機械学習で統計的に解析した結果、最適な条件は〇〇になります」や「機械学習で解析した結果、○○と○○には相関関係があります」のような報告をしても、全く響きません。
Pythonコードを見せる
これも良くありがちな報告例ですが、報告資料に解析に用いたPythonのコードを記載しまくる人がいます。
「機械学習」を理解していない上司に対して、Pythonコードの羅列を見せてもほとんど無意味です。どれだけ働いたか示したかったり、資料が寂しくならないようしたかったりするため、Pythonコードを乗せたくなる気持ちはわからないでもないですが、見せられる方にとっては意味不明な文字の羅列でしかありません。
報告を受ける上司は、Pythonコードの羅列は求めていないことを理解しておきましょう。
化学的な解釈なし
「化学的な考察」が一切ない「機械学習で統計的に解析した結果」のみの報告も上司に嫌われます。
前述の様に、上司は自分も議論に参加したいものです。そのため、自分の知っている分野の話が一切でてこない「機械学習」のみの報告だと面白いと思えず、評価を受けにくいです。
「機械学習」を用いた研究の良い報告方法
ここまでのことを踏まえ、上司に評価される「機械学習を用いた研究報告方法」は次のようになります。
- 「機械学習」だけでなく実際の実験結果も添える
- 「機械学習」のおかげで「最短」で条件を見いだせたことをアピール
- 化学的な考察を加える
「機械学習」だけでなく実際の実験結果も添える
上記の様に、上司は「目に見える成果」を欲しています。
そのため、報告時には「機械学習による解析結果」のみではなく、「実際の実験結果」も合わせて報告するようにしましょう。
そうすることで、「目に見える成果」をアピールすることができます。かつ、具体的な実験結果があるので、上司も議論に参加できるため、機嫌を損ねることが無くなります。
「機械学習」のおかげで「最短」で条件を見いだせたことをアピール
実験データを添えることが前提になりますが、「機械学習」を用いて検討を進めることで、従来より早く成果を挙げられる点をアピールしておきましょう。
従来であれば、多大な実験の末に良い条件に辿り着けるところを、「機械学習」のおかげで早く辿りつけたことを上司に知ってもらえば、上司の「機械学習」の見方が変わる良いきっかけになります。
上司が「機械学習」の有用性を理解できれば、「機械学習」を活用できるあなたの評価は上がります。
化学的な考察を加える
状況によっては「機械学習によるデータ解析結果」のみになってしまうこともあると思います。そのような場合は、化学的な考察を加えておきましょう。
例えば「○○と○○に正の相関があります。この理由は、構造の剛直性に起因していると思います。」のようにです。
こういった化学的な考察を加えることで、上司も議論に参加できます。さらに化学的な原因を考えることで、より適した解析方法が見つかったりするケースの結構あります。
機械学習によるデータ解析だけにとどまらず、化学的な考察をできる人が優秀なデータサイエンティストです。
まとめ
この記事では、上司が「機械学習」を理解していない時の対処法を解説しました。「機械学習」を理解しようとしない上司はの特徴は
- 自分の得意な議論をしたい。よくわからないことを報告されたくない。
- データ分析の結果だけでなく目に見える成果が欲しい
というのが念頭にあります。この要望を満たすためには下記が重要です。
- 「機械学習」だけでなく実際の実験結果も添える
- 「機械学習」のおかげで「最短」で条件を見いだせたことをアピール
- 化学的な考察を加える
これらを徹底できれば、怒られることはなく、評価も上がるはずです。
マテリアルインフォマティクスは、有機化学・高分子化学の研究者にとって強力な武器になります。
これからの研究者は、
実験 × データ
の両輪で戦う時代です。
幸い、「マテリアルインフォマティクス」は普及し始めたばかりです。今から学習を開始すれば、後れを取ることはありません。
まだ、マテリアルインフォマティクスを学んでいない人は、下記記事を参考に学習を進めることをおすすめします。



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