将来は「創薬」の研究に携わりたい。だから複雑な化合物の合成ができるようになりたい!
「全合成」の論文を読んでいても複雑すぎて理解できない
有機合成において、「全合成」の分野は花形です。「有機化学」の全ての分野の知識を使いこなす必要があり、難易度がとても高いです。特に「天然物」は複雑な骨格のものが多く、合成難易度は激高です。「天然物」を合成できるようになれば、精密な合成が求められる創薬分野でも活躍できるようになります。
「天然物の全合成」が理解できれば、超一流の有機化学者です。化学・創薬メーカーでも「全合成」経験者は一目置かれる存在です。そんな「天然物の全合成」を学ぶの最適な教科書が「天然物全合成の最新動向」です。
この記事では、「天然物全合成の最新動向」の概要・特徴・レベル・優れた点を紹介します。
ところで、大学で使うような専門書は高いですよね?こういった専門性の高い教科書を少しでも安く購入したい人は、次の記事を参考にしてください。
「天然物全合成の最新動向」の概要・特徴
「天然物全合成の最新動向」の概要・特徴は下記です。
- 複雑な骨格の天然物がどのように合成されているかを日本語で解説してくれる本
- 読み終えれば「天然物全合成」の基本・考え方・論文の読み方が身に付く
- 全合成の論文を読み始める前に読んでおきたい1冊
「天然物全合成の最新動向」では、種々の複雑な構造の「天然物全合成」を解説してくれる本です。天然物には数多くの種類がありますが、本書では、その種の「天然物の全合成」をリードする先生たちが合成方法を解説してくれます。
一見、とても複雑な構造の天然物も基本的な反応の組み合わせで合成されていることが理解できると思います。また、「天然物全合成」によく使われる反応が把握できます。そういったよく使われる反応は、研究者を目指すなら確実に抑えておきたい反応です。
また、「天然物全合成」を行う際には「官能基選択性」や「立体選択性」を考慮する必要がありますが、その観点でも本書はとても勉強になります。その他にも、各研究特有の「キー反応」もあり、その「キー反応」に各研究者の個性が現れていることも理解できると思います。
「天然物全合成の最新動向」を学習すれば、全合成とはどういうものなのか把握でき、「全合成の論文」の読み方が身も付きます。そのため、「全合成」を学びたい人は、まず、「天然物全合成の最新動向」から学習することをおすすめします。
「天然物全合成の最新動向」の対象者
「天然物全合成の最新動向」は次の様な人におすすめです。
- 大学レベルの教科書を一通り学んだ人
- 創薬研究を目指す人
大学レベルの教科書を一通り学んだ人
「天然物の全合成」は基本的な反応の組み合わせで行われます。また「立体選択性」「逆合成」などについても熟知している必要があります。つまり、標準レベルの事項は理解していることが前提で行われます。
そのため「天然物全合成の最新動向」を学び始める前に、まずは大学の教科書で有機化学の理論/反応機構を一通り勉強しておく必要があります。
下記の記事で紹介している「中級レベル」の教科書と「逆合成」の教科書を勉強した後に「天然物全合成の最新動向」の学習に取り組むことをおすすめします。
創薬研究を目指す人
将来は「創薬」の研究室や企業で研究を行いたい人にも「天然物全合成の最新動向」を読んでおくことをおすすめします。
創薬研究を行う場合、「天然物全合成の最新動向」で得た知識は確実に助けになります。
「天然物全合成の最新動向」の良い点・メリット

「天然物全合成の最新動向」の良い点は下記です。
- 「全合成」によく使われる反応を把握できる
- 重要な「官能基」を把握できる
- 教科書で紹介されていないような、色々な反応条件があることを知れる
- 「天然物全合成」の難しさ・大変さを知れる
「全合成」によく使われる反応を把握できる
「天然物全合成の最新動向」では多くの天然物の合成例が紹介されています。それを学習することで、天然物の全合成でよく使われる反応が把握できます。この「よく使われる反応」は確実に覚えておきたい反応です。こういった反応を中心に記憶するようにしましょう。
また、中には教科書では紹介されていないが頻繁に使われる反応もあります。このような反応まで覚えておけば、周りに一歩差をつけることができます。
重要な「官能基」を把握できる
「天然物全合成の最新動向」では多くの天然物が紹介されているので、天然物に頻繁に含まれている官能基も把握できるようになります。
例えば「アミナール基」はなじみの無い官能基かもしれませんが、天然物が良く持っている構造です。そのため「天然物合成」に携わるなら「アミナール基」の合成方法は抑えておくべきです。さらに「アミナール基」の合成方法を1つ知ってるだけでは不十分です。他の官能基に合わせて、いくつかのバリエーションを知っておくべきです。
「天然物全合成の最新動向」を学習すれば、このような天然物合成で重要な官能基と、他の官能基を考慮した合成方法を把握できます。
教科書で紹介されていないような、色々な反応条件があることを知れる
「天然物全合成の最新動向」では、一般的な教科書では記載されていない条件で反応が行われています。
例えば、ジチアンは天然物合成によく使われる官能基ですが、一般的な教科書では脱保護の際にはHgCl2が使われると解説されます。ただし、水銀は毒性が強いため使いたくない試薬です。そのため、本書では、ヨウ化メチルや超原子価ヨウ素を用いてジチアンの脱保護を行っている箇所が頻繁に見受けられます。
このように、「天然物全合成の最新動向」で学習すると、教科書だけでは学べない反応条件を知ることができます。
「天然物全合成」の難しさ・大変さを知れる
繰り返し述べてきたように「天然物全合成の最新動向」では多くの天然物の合成法が紹介されています。
本書を読むと、反応スキームの長さに驚愕します。一般に「全合成」の研究では、多くの反応条件を試し、最も優れた結果のみが合成スキーム上に記載されています。このことを踏まえると、裏ではとてつもなく多くの実験を行ってきており、完遂するまでにとても多くの時間を捧げたと思います。
天然物合成や創薬を行いたい人は、是非このことを知っておいて貰いたいと思います。
「天然物全合成の最新動向」の悪い点・デメリット

- いきなり使えない
- 演習問題がない
いきなり使えない
「天然物全合成の最新動向」では多くの天然物の合成法が紹介されています。ここまで説明してきたように「天然物全合成」は応用的な領域なため、有機化学の基礎から標準レベルの事項をおさえていないと学習することができません。
そのため「天然物全合成の最新動向」を学び始める前に、まずは大学の教科書で有機化学の理論/反応機構を一通り勉強しておく必要があります。
下記の記事で紹介している「中級レベル」の教科書と「逆合成」の教科書を勉強した後に「天然物全合成の最新動向」の学習に取り組むことをおすすめします。
演習問題がない
有機化学を勉強する際は、インプットの後にアウトプット(問題演習)を行うことが重要です。
しかし、本書の構成上、演習問題がないのは仕方のないことですが「天然物全合成の最新動向」には、演習問題が付いていないので、アウトプットができないのが弱点です。
この欠点を補うために、次に紹介する「使い方」を参考に学習を下さい。
「天然物全合成の最新動向」の使い方

「天然物全合成の最新動向」の効果的な使い方を紹介します。
- 基礎~標準レベルの教科書の内容を身につける
- 初めから読み進める
- 知らなかった反応、頻繁に出てくる官能基はノートにメモする
- 最低でも3週は周回する
- ノートのメモを暗記する
基礎~標準レベルの教科書の内容を身につける
「天然物全合成の最新動向」を学ぶ前に教科書で有機化学の基礎~標準事項を学んでください。
「天然物全合成の最新動向」は「天然物の全合成」という有機化学の中でも応用的な領域なので有機化学の基礎~標準事項を習得できていない人は解説を読んでも理解できません。
下記の記事で紹介している「中級レベル」の教科書と「逆合成」の教科書を勉強した後に「天然物全合成の最新動向」の学習に取り組むことをおすすめします。
初めから読み進める
標準レベルの事項を抑えたら「天然物全合成の最新動向」を読み進めていきます。
読み進める際は、「逆合成解析」「立体制御」「各反応の官能基選択性・許容性」に着目し、チェックしながら読み進めます。
またしばらく読み進めると、天然物によく見られる「官能基」や天然物合成に頻繁に使われる「反応」が見えてくると思います。そういった事項についてもチェックしておいて下さい。
知らなかった反応、頻繁に出てくる官能基はノートにメモする
チェックしておいた「官能基」「反応」「立体選択制」はノートを用意し、メモしてください。
このメモは「重要事項」を抽出した重要なものになります。このメモを完璧に頭に入れることで、「全合成」に関する知識が大きく向上します。
最低でも3週は周回する
最後まで、終わったら、もう1度と最初から読み直していきます。
1周しただけでは、すぐに忘れてしまうので何度も周回しましょう。最低でも3周、できれば5周程度しましょう。3~5周すれば、知識が定着します。
周回は大変そうに聞こえるかもしれませんが、回を重ねる毎に周回スピードが増すので、ストレスなく短時間で周回できます。
ノートのメモを暗記する
ノートに記載したメモを暗記していきましょう。このメモは「天然物の全合成」のエッセンスが抽出された重要なものになります。そのため、このメモを完璧に暗記しましょう。
暗記が終わった後も、時折見返して、定期的に復習しましょう。定期的に復習することで。知識が定着し、全合成の能力が大きく向上します。
「天然物全合成の最新動向」の到達レベル
- 天然物合成に関する論文を読みこなせるようになる
天然物合成に関する論文を読みこなせるようになる
「天然物全合成の最新動向」をマスターすれば、「全合成の論文」の読み方が理解できます。「全合成」の論文の深いところまで読みこなせるようになるため、最新の全合成の論文でも問題なく読み進められるようになります。
英語の勉強にもなるので、積極的に「全合成」の論文を読んで「全合成」に関する能力をさらに向上させていきましょう。論文を読む際は「天然物全合成の最新動向」と同様の方法で読み進めていきましょう。
「天然物全合成の最新動向」のまとめ
この記事では、「天然物全合成の最新動向」を紹介しました。「天然物全合成の最新動向」の概要は下記の様になります。
- 複雑な骨格の天然物がどのように合成されているかを日本語で解説してくれる本
- 読み終えれば「天然物全合成」の基本・考え方・論文の読み方が身に付く
- 全合成の論文を読み始める前に読んでおきたい1冊
有機合成において、「全合成」の分野は花形です。「天然物の全合成」が理解できれば、超一流の有機化学者です。
複雑な化合物を合成する必要がある創薬メーカーの研究員を目指す人は、是非、「天然物全合成の最新動向」で「全合成」のいろはを学んでおいて欲しいです。
ところで、大学で使うような専門書は高いですよね?こういった専門性の高い教科書を少しでも安く購入したい人は、次の記事を参考にしてください。
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