【パイン有機化学】古来からある中級レベルの教科書!今の時代も使える??【レビュー・難易度・到達レベル・メリット・デメリット】

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化学

「パイン有機化学」っていう教科書を耳にするけど、どのレベルの教科書なの?評判は?

「パイン有機化学」が大学の指定の教科書なんだけど?

この記事では、上記のような疑問を抱いている人に向けて「パイン有機化学」の概要・メリット/デメリット・使い方をレビューします。

私の考える「おすすめの有機化学の教科書」はこちらで紹介しています。

大学で使うような専門書は高いですよね?こういった専門性の高い教科書を少しでも安く購入したい人は、次の記事を参考にしてください。

「パイン有機化学」の概要

「パイン有機化学」の概要は下記です。

難易度基礎~標準
解説比較的端的な解説
各章が50ページ以内で簡潔にまとまっている
演習問題有(解答別冊)
独学しやすさ★★★☆☆
おすすめ度★★
  • 古くからある基礎~標準レベルの教科書
  • 各章が50ページ以内 ➡ 解説は重要ポイントに絞られている
  • あえて、この教科書を選ぶかは微妙

「パイン有機化学」は、1989年刊行の古くからある有機化学の教科書です。レベルとしては基礎~標準レベルで、マスターすれば地方国立大・有名私大の院試は突破できるようになり、難関国立大でもギリギリ合格できるレベルに到達できます。

また、「パイン有機化学」は各章の解説が50ページ以内で完結します。ページ数が少ない分、解説に無駄がなく、要点のみが抑えられています。教科書を読み進める際は、細部まで覚えようとすると非効率で、重要なポイントのみを頭に入れる方が効率的です。「パイン有機化学」は無駄がそぎ落とされている分、重要ポイントに絞って勉強しやすいこともメリットです。

ただし、注意点もあります。「パイン有機化学」は古い教科書のため、最近の教科書に比べて特徴やメリットが少ないです。今の時代は、定番の教科書である「マクマリー有機化学」や「ボルハルトショアー現代有機化学」、読み進めやすい「マリンス有機化学」、問題を解く力を養うことに重きを置いた「クライン有機化学」など各々のメリットや特徴を持つ教科書があります。これらの教科書に比べて、「パイン有機化学」は特有のメリットがないので、大学の指定教科書・知り合いから貰ったなどの理由がない限り、あえて「パイン有機化学」を購入するメリットは薄いというのが個人的な意見です。

「パイン有機化学」がおすすめな人

おすすめな人
  • 大学有機化学初学者(高校レベルの化学の概要を把握している人)
  • 短時間で有機化学の勉強を完了したい人
  • 問題演習もやりたい人

大学有機化学初学者(高校レベルの化学の概要を把握している人)

「パイン有機化学」は初めて大学レベルの有機化学を学ぶ人に適した教科書です。大学レベルの有機化学を基礎から解説してくれます。

ただし、「パインス有機化学」は、基礎からの解説といっても、あくまで大学用なので、高校レベルの化学の概要を把握できていることが前提です。

まず高校レベルの化学を未学習の人は、入門レベルの簡単な教科書で構わないので、まずは高校レベルの教科書から学習することをおすすめします。

短時間で有機化学の勉強を完了したい人

「パイン有機化学」では各章の解説が50ページ以内に収まっています。解説は要点のみに絞られており、無駄な話は一切ありません。そのため、このレベル帯の教科書の中では短時間で読み終わることができます。

「無駄話はいいから、要点を教えてほしい」という人にはおすすめの教科書です。

問題演習もやりたい人

「パイン有機化学」では、他の代表的な教科書と同様、各章の最後に補充問題と称して、問題が多数掲載されています。

有機化学の知識を身につけるには「教科書を通読による知識の理解・暗記(インプット)」→「問題演習による知識の確認・出力(アウトプット)」の流れで勉強を進めることが重要です。

「パイン有機化学」は、この流れで勉強しやすい構成になっている点もおすすめのポイントです。

「パイン有機化学」のメリット・良いところ

メリット・良い点
  • 各章が50ページ以内で完結
  • 基礎から解説が始まって標準レベルまで到達可能
  • 「要約」が割と詳しくて便利(他の教科書にもあり)
  • 問題演習が豊富

各章が50ページ以内で完結

「パイン有機化学」では各章の解説が50ページ以内に収まっており、要点のみに絞られて解説されています。

教科書を読み進める際は、細部まで覚えようとすると非効率で、重要なポイントのみを頭に入れる方が効率的です。「パイン有機化学」は無駄がそぎ落とされている分、重要ポイントに絞って勉強できることが大きなメリットです。

基礎から解説が始まって標準レベルまで到達可能

「パイン有機化学」では、大学レベルの有機化学の「入門レベル」から解説が始まり、「標準レベル」まで到達できます。「パイン有機化学」で学習すれば、「入門レベル」~「標準レベル」まで網羅できるので、多くの国立大学の院試まで対応できるようになります。

マクマリー有機化学」や「ボルハルトショアー現代有機化学」と同等のレベルまで到達可能です。

「要約」が割と詳しくて便利(他の教科書にもあり)

多くの有機化学の教科書では、各章の最後に、その章で学んだことの「要約」が掲載されている場合が多いです。「パイン有機化学」も同様に各章末に「要約」が記載されていますが、「パイン有機化学」の「要約」は、他の教科書に比べて、比較的詳しいです。

有機化学を勉強する上で、解説を読んだ後に要点を総復習して頭の中を整理することが大切です。「パイン有機化学」を使えば、この頭の中の整理が行いやすい事もメリットです。

問題演習が豊富

「パイン有機化学」には、各章の最後に補充問題と称して、多くの問題が用意されており、問題演習を行うことができます。

有機化学の知識を効率よく身に付けるには、「教科書で理論の理解・暗記」→「問題演習を通じたアウトプット」の流れで学習を進めることが大事です。

「パイン有機化学」は、この効率の良い学習方法が取りやすい構成になっています。

「パイン有機化学」のデメリット・悪いところ

デメリット・悪いところ
  • レイアウトが古臭い
  • 特徴がない
  • 解答が別売り
  • 説明されていない分野もあり

レイアウトが古臭い

「パイン有機化学」は古くからある教科書なので、最近出版された教科書に比べると、レイアウトが古臭いです。読んでいても視覚的な楽しさは少ないですし、見ずらいところもあります。また、古い教科書であるため、最新情報には全く触れられていません。

今、新しく教科書を購入する場合、もっとレイアウト性に優れる「マクマリー有機化学」や「ボルハルトショアー現代有機化学」を選ぶ方が無難かもしれません。

特徴がない

最近出版されている教科書には、各々に「特徴」があります。例えば、「マリンス有機化学」には「講義調で読みやすい」、「クライン有機化学」には「問題を解くための着眼点を養ってくれる」といった特徴があります。

「パイン有機化学」は古くからある教科書といったこともあり、大きな「特徴」がありません。そのため、今、あえてこの教科書を購入する必要があるかは疑問です。

何か「特徴」を持たせると、代わりに「弱点」が出てきてしまうもので、「パイン有機化学」は弱点がない代わりに特徴がありません。ただ「弱点がない教科書の方が良い」という場合は、定番の「マクマリー有機化学」や「ボルハルトショアー現代有機化学」の方が比較的読みやすいと思います。

解答が別売り

「パイン有機化学」には豊富に問題が掲載されていますが、この問題の解答は別売りです。「問題演習」の後の「答え合わせ」は必須なので「解答書」は購入する必要があります。

説明されていない分野もあり

他の中級レベルの教科書と同様、「パイン有機化学」でも、一部の分野(炭素以外の元素、クロスカップリング、)に関する解説はありません。

他の中級レベルの教科書でも取り扱われていないので、この点は「パイン有機化学」に限ったデメリットではありませんが、実際に研究を進めるためには、上記の分野も学習しておく必要があります。有機化学の研究者を志している人は、よりレベルの高い教科書も学習しておくことをおすすめします。

「パイン有機化学」の次に使うべき教科書については後述します。

「パイン有機化学」の使い方

「パイン有機化学」の使い方
  1. 確認問題を解きながら、はじめの章を通読する
  2. 練習問題を解く
  3. 間違った問題の説明と解答を読み込む
  4. 間違った問題をもう1度解く
  5. 次の章に進む
  6. 最後の章まで進めたら、最初から周回する

確認問題を解きながら、はじめの章を通読する

まずは、初めの章を通読を開始しましょう。重要ポイントに絞って解説されているので、頭に入りやすいと思います。また、「パイン有機化学」ではところどころに「確認問題」が出題されます。この「確認問題」を解きながら、読み進めていきます。

章末には「要約」が掲載されています。この「要約」には、その章で学んだ重要ポイントがまとめられています。ここを確認することで、頭の中を整理できるので、しっかり確認しましょう。

この段階は全体の内容を把握することが目標なので、あまり几帳面に読み過ぎず、にテンポよく読み進めましょう。

練習問題を解く

章を読み終えたら章末の「補充問題」を解いていきましょう。問題として出題されている部分は、その章のキーポイントです。①で通読した内容を思い出しながら、解いていきましょう。この際、どうしても思い出せない内容は、説明部分に戻って内容を確認しながら解きましょう。

まれに、説明を1章から最後の章まで通読し終えた後に、1章の問題から順に解いていく人がいますが、このやり方はおすすめしません。

「パイン有機化学」は、分厚い教科書であるため、このやり方だと、最後の章を読み終えるころには第1章の内容はほとんど忘れていると思います。そのため、各章を読み終えるごとに、その章の問題でアウトプットし、知識の定着を図ることをおすすめします。

間違った問題の説明と解答を読み込む

②で間違った問題については、教科書の説明部分に戻って入念に読み込みましょう。

②で間違った部分は、その章のキーポイント、かつ、あなたの弱点でもあります。そのため、しっかり復習しましょう。

間違った問題をもう1度解く

②で間違った問題や確認しないと解けなかった問題を再度解きましょう。説明を読んだばかりなので、すぐ解けると思います。

すぐ解けないようであれば、理解が不十分です。その場合は、説明と解答を徹底的に読み込みましょう。

次の章に進む

第1章の問題までマスターしたら、同様の手順で次の章を勉強しましょう。以降は全く同じやり方で進めていきましょう。

「パイン有機化学」は分量が多いので、挫折しそうになるかもしれませんが、途中でやめてしまうと意味がなくなってしまうので、根気強く地道に最後までやり切りましょう。

最後の章まで進めたら、最初から周回する

最後の章までやり終えたら、もう1度最初の章に戻り周回しましょう。2周目は重要ポイントがどこであるか把握できていると思うので、重要ポイントを確認しながらテンポよく読めば十分です。

説明を読み終えたら、「練習問題」を解きましょう。1度解いたことのある問題なのでそこまで詰まることなく進めていけると思います。

周回と聞くと大変に感じるかもしれませんが、2周目以降は1周目に比べてとても短時間で取り組めると思います。このやり方で、最低でも3周はしてください。

「パイン有機化学」の到達レベル

到達レベル
  • 多くの国立大学の院試は突破可能
  • 高難度の教科書を読み進めるためのベースが完成
  • 学部レベルの研究が実施可能になる

多くの国立大学の院試は突破可能

「パイン有機化学」を完璧にすれば、ほとんどの国立大学の院試を突破できます。旧帝大の院試でも合格最低点を獲得できるようになります。

ただし、東大や京大などの超高難度の院試で合格するためには、もう1段レベルの高い教科書を学習しておいたほうが無難です。東大や京大などの難しい問題を出題する大学院を受ける人は、次に紹介する教科書にも取り組んでおきましょう。

高難度の教科書を読み進めるためのベースが完成

東大や京大のような高難易度の院試を突破するためには「パイン有機化学」だけでは不安が残ります。もう1段レベルの高い教科書を学習しておく必要があります。しかし、いきなり高難度の教科書で学習しても、理解できない事項が多すぎて、上手く学習を進めることができません。

高難易度の教科書に取り組む前に、「パイン有機化学」で基礎をしっかり身に付けておけば、難易度の高い教科書でもスムーズに読み進められるようになります。

学部レベルの研究が実施可能になる

「パイン有機化学」をマスターすれば、学部レベルの研究であれば実施できるようになります。

もちろん、「パイン有機化学」で取り扱っていない分野の研究を行うことになる場合もあると思いますが、「パイン有機化学」で有機化学の基礎をしっかりと学んでおけば、その分野の勉強もスムーズに進めることができます。

「パイン有機化学」の次

「パイン有機化学」をマスターして、さらに有機化学を深く学びたい人や超難関大の院試を受験する予定の人には「ウォーレン有機化学」をおすすめします。

この「ウォーレン有機化学」までマスターすれば、東大・京大の院試を確実に突破でき、研究者レベルに到達できます。

「ウォーレン有機化学」はレベルの高い教科書ですが「パイン有機化学」をしっかりマスターした人であれば、十分取り組めるようになっています。

「パイン有機化学」では取り扱われていない分野(クロスカップリングなど)の知識も身に付けることができ、「ウォーレン有機化学」までしっかり学習した後であれば、最新の論文も読みこなす力が身につきます。

有機化学を専門としたい人は「ウォーレン有機化学」まで勉強しておくことをおすすめします。次の記事で「ウォーレン有機化学」の概要などを説明していますので、是非ご覧ください。

「パイン有機化学」のまとめ

この記事では、「パイン有機化学」を紹介しました。「パイン有機化学」の概要をもう一度下記に記します。

  • 古くからある基礎~標準レベルの教科書
  • 各章が50ページ以内 ➡ 解説は重要ポイントに絞られている
  • あえて、この教科書を選ぶかは微妙

「パイン有機化学」は古くからある教科書です。このレベル帯の教科書の中では、解説が端的でわかりやすいです。

到達レベルについても、最近の中級レベルの教科書と同程度まで到達可能です。

ただし、今の時代は、もっと特徴をもった教科書がたくさんあります。そのため、大学で指定された教科書、知人から無料で貰った等の場合は使用すれば良いですが、これから中級レベルの有機化学の勉強を開始する人が、わざわざ購入する必要性は薄いと感じます。

大学で使うような専門書は高いですよね?こういった専門性の高い教科書を少しでも安く購入したい人は、次の記事を参考にしてください。

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