初心者が高分子科学を網羅的に学習できる、おすすめの教科書は??
このような疑問を抱いている人におすすめの教科書を紹介します。
この「基礎高分子科学」は高分子初心者が高分子科学の基礎~標準事項を網羅的に学習するのに適した教科書です。多くの大学やメーカーの研究所でも使われているオーソドックスな良書です。
この記事では、「基礎高分子科学」の特徴、メリット・デメリット、正しい使い方などを紹介します。
「基礎高分子科学」の概要
「基礎高分子科学」の特徴は次のようになります。
- 高分子の合成・物性の基礎~標準事項を網羅できる万人受けする教科書
「基礎高分子科学」は、癖のない丁寧な解説で、人を選ばない万人受けするオーソドックスな教科書です。
「基礎高分子科学」は基礎とありますが、高分子科学の基礎~標準事項までを網羅的に学習できる良書です。これ1冊をマスターすれば、院試の対策は十分で、高分子系のメーカーに就職しても十分にやっていけるレベルに到達できます。
「基礎高分子科学」の対象者
「基礎高分子科学」をおすすめしたい人は次のようになります。
- 有機化学の基礎を学習した人
- 高分子をこれから学習していく人
有機化学の基礎を学習した人
「有機化学」と「高分子科学」には密接なかかわりがあります。有機化学で学んだことを使って、高分子を考えていくことが非常に多いです。「有機化学の基礎」が疎かにしたまま、「高分子科学」を勉強しても効率よく知識が身に付きません。「有機化学の基礎」を身に付けていないまま、「高分子科学」に取り組み応用の効かない不十分な知識しか持っていない人をたくさん見かけます。
そのため、学習する順番としては、「有機化学」→「高分子科学」の順に勉強することを強くおすすめします。「有機化学の基礎」を学ぶには、下記記事を参考にしてください。下記記事の基礎レベルの教科書を勉強しておけば、高分子科学を学ぶための土台は十分に完成します。
高分子をこれから学習していく人
これから「高分子科学」を学んでいくという人には「基礎高分子科学」は大変おすすめです。
「基礎高分子科学」は、癖のない解説で使う人を選ばない教科書なので、「基礎高分子科学」を選んでおけば間違いありません。マスターすれば、標準以上のレベルに到達できるので大変おすすめです。
ただし、前述のように、「基礎高分子科学」に取り組む前に「有機化学の基礎」を勉強しておくことを強くおすすめします。
「基礎高分子科学」のメリット
- 基礎から標準事項を網羅できる
- 癖のないオーソドックスな解説
- 高分子の教科書と言えばこれ!皆が使っている安心感!
基礎から標準事項を網羅できる
「基礎高分子科学」をマスターすれば、「高分子科学」の標準事項まで完璧に網羅できます。ここまでマスターすれば、研究生活を送る上で困ることはないと思います。
たった1冊で、ここまで網羅性が高い教科書は少ないので、網羅的に勉強したい人にはおすすめです。
癖のないオーソドックスな解説
「基礎高分子科学」の解説は、特別わかりやすいといったわけではありませんが、わかりにくいといったこともありません。「基礎高分子科学」は誰にでも受け入れられる至って「普通の解説」です。「普通の解説」のため読み手を選びません。
一般的に、わかりやすい解説は、初心者向けの場合が多く、初心者以外に人には退屈になりがちです。その点「基礎高分子科学」は至って普通の解説のため、どのレベル帯の人でも読める良い教科書です。
「基礎高分子科学」を選んでおけば、「ハズレの教科書を買ってしまった・・・」というようなことにはなりません。自分に合わない教科書だけは絶対買いたくないという人にはおすすめの教科書です。
高分子の教科書と言えばこれ!皆が使っている安心感!
高分子の教科書と言えば「基礎高分子科学」と言われているほど有名は教科書です。言い換えると多くの人から支持されている教科書ということです。
多くの人に支持されている「基礎高分子科学」は、もちろん良書であり、使う安心感を持てると思います。多くの人がこの教科書で勉強して、実力を高めているので、投げ出さずマスターすれば、確実に実力が付きます。
「基礎高分子科学」のデメリット
- 問題演習がない
- 文字が細かく、説明が少し固い
- 式変形が省略されがちでわかりにくい
- 応用的な部分までは説明されていない
問題演習がない
「高分子科学の知識」を効率よく吸収するには「教科書で知識をインプット」→「問題演習を通してアウトプット」の流れが重要です。しかし、「基礎高分子科学」には演習問題が付いていません。
そのため、「基礎高分子科学」を読んで勉強した後は、問題集を購入してアウトプットをするようにしましょう。「基礎高分子科学」の後に取り組みたいおすすめの問題集は後述します。
文字が細かく、説明が少し固い
「基礎高分子科学」はオーソドックスな教科書です。一般的な教科書と同様に、文字が細かく、説明が少し固いです。
話し言葉のような親しみやすい文体を好む人には少し不向きかもしれません。
式変形が省略されがちでわかりにくい
高分子の分野では数式やその数式の変形が頻出しますが、「基礎高分子科学」の解説では数式の変形が省略されがちで戸惑うことが多いです。
「基礎高分子科学」は数学の教科書ではないので仕方ない事でもありますが、省略された部分は自分の力で変形しながら読み進めていく必要があります。
応用的な部分までは説明されていない
「基礎高分子科学」は標準事項まで網羅しており、高分子の標準的な内容まで網羅するには最適な本です。院試対策にも「基礎高分子科学」で十分です。しかし、研究者として実験を実施していくレベルには若干足りません。
例えば「誘電率」という樹脂の物性では、標準事項までしっかり網羅されていますが、研究者として誘電樹脂を開発していくにはもう少し応用的な内容まで理解しておく必要があります、
そのため、まずは「基礎高分子科学」で基礎から標準事項をしっかり学んで、自分の研究分野の内容だけはもう少し応用的な教科書・論文でも勉強するようにしましょう。
「基礎高分子科学」の使い方
「基礎高分子科学」のおすすめの使い方は次のようになります。
はじめの章をざっと読む
まずは、最初の章をざっと読んでいき、大まかな内容・流れを掴みましょう。「基礎高分子科学」には数式や反応式がたくさん出てきますが、最初の段階では、あまり深く考えすぎずにサクサク読んでいきましょう。
その章を読み終わったら、もう一度その章を数式を自分で解きながら精読する
ざっと読み終わったら、次はその章を精読していきましょう。この段階では数式は自分でも式変形しながら読んでいき、反応式については反応機構を理解するために巻矢印(電子移動)も書けるようになりましょう。
自分で手を動かすことで、知識を自分のものにできます。
次の章に進む
精読が終わったら、次の章に進みましょう。次の章でも同様の方法で進めてください。
最後の章まで進めたら、最初から周回する
最後の章まで終わったら、最初から周回しましょう。1周ですべて理解できる人はいないので、必ず周回をするようにしましょう。
「周回」は地味でめんどくさい作業ですが、「周回」によって知識が定着します。2周目以降は、1周目の半分以下の時間・労力で進めていくことができるので、めんどくさがらず、最低でも3周は周回してください。
別途問題集を購入して問題演習をする
前述の通り、「基礎高分子科学」には問題が付属していません。知識の定着には、問題集を使ったアウトプットが必須です。なので、別途問題集を購入して解いていきましょう。
問題を解くことで、知識の定着・理解度の確認ができます。おすすめの問題集は姉妹書の下記です。
「基礎高分子科学」の到達レベル
「基礎高分子科学」をマスターすれば以下のレベルに到達できます。
- 院試対策は十分
- 研究者の基礎レベル修得
院試対策は十分
「基礎高分子科学」をマスターすれば、院試で出題される高分子科学の問題はほとんど解けるようになります。「基礎高分子科学」の後に過去問演習を行えば、どこの大学院でも合格点は確実にとれるようになります。
「高分子科学」の問題が出題される大学院を受ける人は、「基礎高分子科学」で勉強しておくことを強くおすすめします。
研究者の基礎レベル修得
「基礎高分子科学」をマスターすれば、「研究者として絶対必要な基礎知識」を網羅的に習得できます。
前述した通り、研究を行っていくと、もう少し「応用的な知識」が必要な場面に出くわします。「基礎高分子科学」をマスターしておけば、「応用的な知識」を学ぶための「土台」が完成しているので、「応用的な知識」も問題なく理解できるようになります。
「基礎高分子科学」は、「研究者レベルの応用的な知識」を学ぶための前段階のレベルまで到達させてくれます。
「基礎高分子科学」の次
「基礎高分子科学」を学習し終えたら、次は問題演習に取り組んで欲しいです。おすすめの問題集は次のものになります。
繰り返しになりますが、「高分子科学の知識」を効率よく吸収するには「教科書で知識をインプット」→「問題演習を通してアウトプット」の流れが重要です。「基礎高分子科学」に問題が付属していないので、別途購入する必要があります。
上記の問題集は、「基礎高分子科学」の演習編の位置づけの問題集なので、章立てが同じで、使いやすくおすすめです。
「基礎高分子科学」のまとめ
「基礎高分子科学」の特徴をもう一度述べると次のようになります。
- 高分子の合成・物性の基礎~標準事項を網羅できる万人受けする教科書
「基礎高分子科学」は、基礎から標準レベルまで網羅できる教科書で、初めて高分子科学を学ぶ人には最適の教科書です。
メリット・デメリットがありますが、それを理解した上で使用すれば、最強レベルの教科書です。
これから高分子科学を学ぶ人は、是非本書で勉強してみて下さい。
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