論文を読むのに時間がかかる
研究テーマに関する情報を効率よく調べたい
実験データの整理や解析を効率化したい
ChatGPT以外にも、研究活動に使えるAIツールを知りたい
このような悩みを持つ研究者も多いのではないでしょうか。近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの進化が進み、研究活動に利用できるAIツールが増えています。
しかし、AIツールによって得意なことが異なります。用途に応じて使い分けることが重要です。そこで本記事では、化学・材料・製薬などの研究者が研究活動で活用しやすいAIツールを15個紹介します。「生成AIを使ってみたいけれど、何から始めればよいか分からない」という方にも分かりやすいように、それぞれの特徴や具体的な用途を整理しました。
※AIツールの機能や料金は変更される場合があるため、利用前に公式サイトで最新情報を確認してください。
研究者向けAIツールおすすめ15選
まず、今回紹介するAIツールを一覧表にまとめます。
| AIツール | 主な用途 | 研究活動での活用例 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 万能型AI | 論文要約、文章作成、データ分析、Python | まずAIを使ってみたい人 |
| Claude | 長文読解・文章・コード | 技術資料の整理、研究の壁打ち、コードレビュー | 複雑な内容を整理したい人 |
| Gemini | Web調査・Google連携 | 情報収集、資料整理、画像解析 | Googleサービスをよく使う人 |
| NotebookLM | 資料の読解・統合 | 複数論文の比較、文献レビュー | 論文を大量に読む人 |
| Perplexity | Web検索・調査 | 最新研究動向、企業・技術調査 | 情報収集を効率化したい人 |
| Elicit | 文献レビュー | 論文検索、研究結果の整理 | 文献調査を頻繁にする人 |
| Consensus | 論文ベースの調査 | 研究結果や科学的根拠の確認 | 現象の理由を理解したい人 |
| Scite | 引用関係の確認 | 論文が支持・反証されているか確認 | 論文の信頼性を確認したい人 |
| SciSpace | 論文PDF読解 | 専門用語、数式、図表の理解 | 論文を読むのが苦手な人 |
| Semantic Scholar | 論文検索 | 関連論文の検索、引用関係の確認 | 論文を効率よく探したい人 |
| ResearchRabbit | 論文探索 | 関連論文をネットワーク状に探索 | 文献を芋づる式に探したい人 |
| Connected Papers | 論文関係の可視化 | 研究分野の全体像を把握 | 研究テーマを俯瞰したい人 |
| Scholarcy | 論文要約 | 論文の要点を短時間で把握 | 論文を大量に読む人 |
| GitHub Copilot | コード作成 | Python、データ処理、デバッグ | プログラミングをする人 |
| Microsoft Copilot | Office業務 | Excel、Word、PowerPoint | Officeをよく使う人 |
以降で、それぞれのAIの特徴を詳しく紹介します。
1. ChatGPT:研究活動全般に使える万能AI
まず紹介したいのがChatGPTです。ChatGPTは、研究活動のさまざまな場面で利用できる汎用性の高いAIです。
例えば、以下のような用途に使えます。
- 論文の要約
- 研究アイデアの整理
- 英文校正
- メール作成
- Web調査
- PDFの読解
- Excel・CSVデータの分析
- グラフ作成
- Pythonコードの作成
- プレゼン資料の構成
研究者の場合、特に便利なのが「論文要約」「文章作成」「データ分析」「コード作成」です。例えば、以下の様なプロンプトを入力すれば、短時間で内容把握・方針設定や資料作成が可能になります。
この論文の新規性と従来研究との違いを整理してください。
この実験データを分析して、物性に影響していそうな因子を整理してください。
この実験データを基にした報告書を作成してください。
ChatGPTは、生成AIをこれから勉強する研究者が最初に触るツールとしておすすめで、何か一つ生成AIを使うならChatGPTが最もおすすめです。
下記記事ではChatGPTで論文を効率よく読む方法を紹介していますので、参考にして下さい。

- まず生成AIを使ってみたい人
- 論文要約や文章作成を効率化したい人
- ExcelやPythonを使ったデータ分析をしたい人
- 研究アイデアをAIと壁打ちしたい人
2. Claude:長い資料の読解や複雑な思考に向いているAI
Claudeは、Anthropicが開発する生成AIです。ChatGPTと同じく汎用型AIですが、長い文章の読解や文章整理、複雑な内容の検討などに向いています。
研究活動では、例えば以下のような用途が考えられます。
- 長い論文や技術資料の整理
- 複数の研究結果の比較
- 研究計画の壁打ち
- 実験結果の考察
- Pythonコードの作成・レビュー
- 英文の推敲
例えば、以下のような使い方ができます。
この研究結果から考えられる原因を複数挙げてください。
それぞれの仮説を検証するための実験を考えてください。
ただし、AIが考えた内容が必ず正しいとは限らないため、自分でも考え、検証することが大切です。
- 長い資料を整理したい人
- 研究計画をAIと議論したい人
- 複雑な文章やコードを扱う人
- ChatGPT以外のAIも比較してみたい人
3. Gemini:Googleサービスとの連携や情報収集に便利
GeminiはGoogleが提供する生成AIです。Google検索やGoogle Workspaceとの連携など、Googleのサービスをよく使う人にとって便利なAIです。
研究活動では、以下のような場面に利用できます。
- Web情報の調査
- Google Drive内の資料整理
- Google Docsの文章作成
- 画像や資料の解析
- 研究テーマの情報収集
例えば、以下のような使い方ができます。
最近の高分子電解質に関する研究動向を整理してください。
この資料を読んで、重要なポイントをまとめてください。
Googleのサービスを普段から利用している研究者は、一度試してみるとよいでしょう。
- Googleのサービスを普段から利用している人
4. NotebookLM:複数の論文を読み込ませて整理するAI
NotebookLMは、自分で用意した資料をAIに読み込ませて、その内容について質問できるツールです。研究者に非常に相性の良いAIの一つだと思います。
例えば、自分の研究テーマに関する論文を10本読み込ませて、以下のようなプロンプトを入力することで、短時間で知りたい情報を整理できます。
この10本の論文に共通する研究課題を整理してください。
材料、実験方法、主な結果を表にまとめてください。
それぞれの論文で結論が異なる点を整理してください。
単に1本の論文を要約するだけでなく、複数の論文を比較・統合する用途に向いています。文献レビューや研究テーマの整理を効率化したい人には、かなりおすすめです。
- 論文を複数読む人
- 文献レビューを効率化したい人
- 自分の資料についてAIと対話したい人
- 研究テーマの全体像を整理したい人
5. Perplexity:Web検索や最新情報の調査に便利
Perplexityは、AIを利用した検索・情報収集ツールです。普通の検索エンジンと異なり、複数のWeb情報を調べて、回答を整理してくれる点が特徴です。
研究活動では、以下のようなケースに利用できます。
- 最新の研究動向
- 技術トレンド
- 企業の研究開発動向
- 特許や製品情報の予備調査
- 新しい研究テーマの情報収集
例えば、下記のようなプロンプトが有効です。
2025年以降の固体電解質に関する主な研究動向を整理してください。
化学メーカーにおける生成AIの活用事例を調べてください。
「まず情報を集めたい」という場面で便利なAIです。ただし、研究に利用する場合は、回答をそのまま信じるのではなく、元の論文や公式情報を確認することが重要です。
6. Elicit:文献レビューに特化したAI
Elicitは、論文検索や文献レビューを支援するAIツールです。研究テーマを入力すると、関連する論文を探し、研究内容を整理するのに役立ちます。
例えば、
ポリマー電解質のイオン伝導性に関する研究
といったテーマを入力すると、関連論文を探してくれます。
さらに、
- 研究目的
- 実験方法
- 主な結果
- 使用した材料
- 研究上の制限
などを整理する用途に使えます。
文献レビューでは、論文を1本ずつ読んでメモする作業に時間がかかります。Elicitを使うことで、最初の論文探索や情報整理を効率化できます。
7. Consensus:論文に基づいて科学的な疑問を調べるAI
Consensusは、学術論文をもとに質問へ回答することを目的としたAI検索ツールです。
例えば、
有機溶媒の種類は反応収率に影響するか?
高分子の分子量は機械的強度にどの程度影響するか?
といった、科学的な疑問を調べる用途に向いています。一般的なWeb検索ではなく、論文をベースに情報を集めたい場合に便利です。
ただし、Consensusの回答だけで研究上の結論を出すのではなく、実際の論文を確認することが大切です。
8. Scite:論文が後続研究でどう評価されているか確認するAI
Sciteは、論文の引用関係や引用文脈を確認するためのツールです。
論文を読んでいると、
この論文の主張は、その後の研究でも支持されているのか?
と気になることがあります。
Sciteでは、ある論文が後続研究から、
- 支持されている
- 反証されている
- 単に引用されている
といった観点で確認できます。特に、ある研究結果の信頼性や、その後の研究動向を確認したい場合に役立ちます。
9. SciSpace:論文PDFの理解をサポートするAI
SciSpaceは、論文PDFの読解を支援するAIツールです。
論文を読んでいると、
- 専門用語が分からない
- 数式の意味が分からない
- Figureの内容を理解できない
- 研究の新規性が分からない
ということがあります。このようなときに、論文の内容について質問できます。
例えば、
この論文の新規性を説明してください。
Figure 2の内容を初心者向けに説明してください。
この数式に登場する各変数の意味を説明してください。
といった使い方ができます。
10. Semantic Scholar:関連論文を探すためのAI検索
Semantic Scholarは、学術論文を検索するためのサービスです。研究テーマに関連する論文を探したり、引用関係を確認したりする用途に利用できます。
Google Scholarと同じように論文検索に使えますが、AIによる論文整理や関連論文の発見を支援する機能があります。
例えば、
ある論文に関連する研究をさらに探したい
という場合に便利です。
11. ResearchRabbit:論文を芋づる式に探すAIツール
ResearchRabbitは、論文同士の関係性を利用して関連論文を探すツールです。
研究テーマを調べていると、
重要な論文を1本見つけたけれど、そこから関連研究をどう探せばよいか分からない
ということがあります。
ResearchRabbitでは、ある論文を起点にして、関連する論文や研究者をたどっていくことができます。
文献調査を広げたい場合に便利です。
12. Connected Papers:研究分野の全体像を把握するAIツール
Connected Papersは、論文同士の関係性を可視化するツールです。ある論文を入力すると、その論文に関連する研究がネットワーク状に表示されます。
例えば、
- 過去の重要論文
- 関連する研究
- 同じ分野の代表的な研究
などを俯瞰できます。
新しい研究テーマを始めるときや、ある分野の全体像を把握したいときにおすすめです。
13. Scholarcy:論文の要点を短時間で把握するAI
Scholarcyは、論文を要約し、重要な情報を整理するAIツールです。
論文を読む前に、
この論文は自分の研究に関係ありそうか?
を判断するためのスクリーニング用途に向いています。
例えば、
- 研究目的
- 主な結果
- 重要な結論
- 研究上の制限
などを短時間で確認できます。
ただし、要約だけで論文の内容を完全に理解できるわけではないため、重要な論文は本文を読む必要があります。
14. GitHub Copilot:Pythonやデータ解析コードの作成に便利
GitHub Copilotは、プログラミングを支援するAIツールです。研究者の場合、Pythonを使ったデータ処理や機械学習に利用できます。
例えば、
CSVファイルを読み込んで、散布図を作成するPythonコードを書いてください。
このコードのエラー原因を説明してください。
pandasを使って欠損値を処理するコードを書いてください。
といった使い方ができます。
Pythonを勉強している人にとっては、コードを書く時間を短縮しながら、プログラミングを学べる点がメリットです。
ただし、AIが生成したコードが必ず正しいとは限らないため、コードの内容を理解しながら使うことが重要です。
15. Microsoft Copilot:Excel・Word・PowerPointなどの業務効率化
Microsoft Copilotは、Microsoft 365などのサービスと組み合わせて利用できるAIです。研究者の場合、実験そのものよりも、日常業務の効率化に役立つ場面が多いと思います。
例えば、
- Excelデータの整理
- Word文書の作成
- PowerPoint資料の構成
- 会議資料の要約
- メール作成・検索
- 報告書の作成
などです。
研究者は実験だけでなく、報告書や会議資料の作成にも多くの時間を使います。こうした事務作業を効率化したい場合におすすめです。
研究活動の用途別にAIを選ぶなら?
ここまで15個のAIツールを紹介しました。
しかし、
結局、どのAIを使えばよいのか分からない
という人もいると思います。
そこで、研究活動の用途別におすすめのAIを整理します。
| やりたいこと | おすすめAI |
|---|---|
| まず生成AIを使ってみたい | ChatGPT |
| 研究アイデアを考えたい | ChatGPT・Claude |
| 最新の研究動向を調べたい | Perplexity |
| 論文を探したい | Semantic Scholar・Elicit |
| 関連論文を広げたい | ResearchRabbit・Connected Papers |
| 論文を要約したい | ChatGPT・Scholarcy |
| 複数論文を比較したい | NotebookLM |
| 論文の科学的根拠を確認したい | Consensus・Scite |
| 論文PDFを理解したい | SciSpace・ChatGPT |
| Pythonコードを書きたい | ChatGPT・Claude・GitHub Copilot |
| Excelデータを分析したい | ChatGPT・Microsoft Copilot |
| プレゼン資料を作りたい | ChatGPT・Microsoft Copilot |
研究者が最初に使うなら、この3つがおすすめ
15個すべてを使いこなすのは難しいと感じるかと思います。個人的には、まず以下の3つから始めるのがおすすめです。
- ChatGPT
- NotebookLM
- Perplexity
① ChatGPT
まずはChatGPTで、生成AIの基本的な使い方を学びます。
- 文章作成
- 論文要約
- アイデア出し
- データ分析
- Python
など、幅広い用途を体験できます。
② NotebookLM
次にNotebookLMを使って、複数の論文を読み込ませてみます。
「AIに論文を要約させる」
から、
「AIと一緒に文献レビューする」
という使い方に進めます。
③ Perplexity
最後にPerplexityで、研究テーマに関する情報収集をしてみます。
ChatGPTと検索AIの違いを理解するのに役立ちます。
生成AIを研究活動に使うときの注意点
生成AIは非常に便利ですが、研究活動で利用する場合には注意点もあります。
- AIの回答が正しいとは限らない
- 機密情報を入力しない
- AIは研究者の代わりではなく補助ツール
① AIの回答が正しいとは限らない
生成AIは、もっともらしい誤情報を生成することがあります。
特に、
- 論文の引用
- 実験条件
- 化学反応
- 数値データ
- 科学的な結論
などは、必ず元の情報を確認する必要があります。
② 機密情報を入力しない
企業の研究者の場合、以下のような情報を外部AIに入力する際は注意が必要です。
- 未公開の実験データ
- 社内資料
- 顧客情報
- 特許出願前の情報
- 研究開発上の機密情報
会社のAI利用規程を確認したうえで利用することが重要です。
③ AIは研究者の代わりではなく補助ツール
生成AIは、論文を整理したり、アイデアを出したり、データを分析したりするのに役立ちます。しかし、最終的な判断や研究上の結論は研究者自身が行う必要があります。
AIに考えてもらう
のではなく、
AIを使って、自分の考察や判断を効率化する
という使い方がおすすめです。
まとめ|研究者はAIを用途別に使い分けるのがおすすめ
今回は、研究活動に利用できるAIツールを15個紹介しました。
生成AIといっても、得意な用途はそれぞれ異なります。
例えば、
- ChatGPT → 研究活動全般
- Claude → 長文読解・複雑な思考
- NotebookLM → 複数論文の整理
- Perplexity → Web調査
- Elicit → 文献レビュー
- GitHub Copilot → Python・コード作成
というように、目的に応じて使い分けることが重要です。
最初からすべてのAIを使う必要はありません。
まずは、ChatGPT → NotebookLM → Perplexityの順番で試してみると、生成AIが研究活動にどのように役立つのか理解しやすいと思います。
生成AIを使いこなせるようになると、論文検索、資料整理、データ分析、文章作成など、研究者の日常業務を効率化できる可能性があります。
まずは自分の研究活動の中で、
「この作業、AIに任せられないかな?」
と考えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

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