研究室で「有機合成」の研究をしている際、次のような状況に出くわすことはないでしょうか?
このアルコールはカルボン酸に酸化したい。どの酸化反応を使えばよいんだっけ?
酸化反応は沢山あるから、溶剤や使用料なんかの細かい条件も調べなくちゃ!でもめんどくさいな~。
この水酸基を塩基条件に強い保護基で保護したい。でも、どの保護基を使えばよかな?脱保護の条件も考慮しなくちゃいけないし、どの保護基を使えばよいの?
このような場合、論文を調べたり、「実験化学講座」で調べたりすると思います。
でも、こういった調べる作業を面倒だし、結構時間を取られますよね?
そんな人には「有機合成の定番レシピ」を手元に置いておくことをおすすめします。
「有機合成の定番レシピ」を手元に置いておけば、こういった調べものをする時間を大幅に削減できます。
また、「有機合成の定番レシピ」をパラパラ見ておけば、自分の必要な反応が見つかることもあります。
この記事では、「有機合成の定番レシピ」の概要、メリット・デメリットを紹介します。
- 基本的な反応条件を調べる手間を省きたい
- 望みの反応を簡単に調べたい
「有機合成の定番レシピ」の概要
「有機合成の定番レシピ」は、その名の通り、たくさんの「汎用性の高い反応(定番の反応)」と「その実施方法(レシピ)」が細かに記載されている本です。
記載されている反応は、全て論文から引用されたもので、論文の実験項の形式で反応方法(使用当量、溶媒、温度条件など)が細かに記載されています。
そのため「有機合成の定番レシピ」を見るだけで、有機合成化学者なら知っておく必要のある定番の反応を全て自分で行えるようになります。
また、各反応には「酸性に弱い官能基がある場合は使用不可、異臭を放つ副生成物が生じるので注意」などの特徴・注意点がわかりやすくまとめられます。
反応の特徴や注意点も記載されてるため、自分の求める反応を簡単に見つけることができます。
正直、この1冊を持っていれば、基本的な反応・研究はすべて自分で行えるようになると思います。
例えば、「Swern 酸化」を行いたいとき、溶剤や試薬の使用量や反応温度がパッと思い出せないこともありますよね?
そんな時に、朧げな記憶を頼りに反応を仕込んで、万一反応条件をミスしてしまったら、貴重な原料を失うことになりかねません(全合成終盤でこのようなミスをしたら、目も当てられません)。
「有機合成の定番レシピ」で反応条件を確認した上で反応に取り組めば、ミスを大幅に減らすことができます。
また、記載されている反応のは、すべて引用元の論文の記載されているので、より深く反応について知りたい場合は、簡単に元論文を参照できます。
ちなみに、企業で研究を行っている私も、デスクに1冊用意しており、頻繁に参照しています。周りの多くの同僚も同じように自分のデスクに1冊用意しています。
「有機合成の定番レシピ」のメリット
「有機合成の定番レシピ」は合成に関する研究を行う全ての人が、1冊持っておくべきだと思うほどおすすめの本です。
そんな「有機合成の定番レシピ」の具体的なメリットは次のようになります。
- 定番の反応が網羅されている
- 実施したい反応の詳細な条件がすぐわかる
- パラパラめくっているだけで勉強になる
- 安い
- コンパクト
定番の反応が網羅されている
「有機合成の定番レシピ」は、有機合成を行う上で知っておかなければならない定番の反応が網羅されています。
「有機合成の定番レシピ」に記載されている反応だけで、有機合成を仕事にしてもやっていけるレベルに到達できます。
そのくらい、「有機合成の定番レシピ」は定番の有機反応を網羅性が高いです。
言い換えると、「有機合成の定番レシピ」を持っておけば、プロの現場でもやっていけるようになるということです。
実施したい反応の詳細な条件がすぐわかる
これが「有機合成の定番レシピ」の最大のメリットです。
冒頭にも述べましたが、以下のような状況は研究を行っていると頻繁に起こります。
この「swern 酸化」をやりたいけど、溶剤や試薬の当量なんかの細かい条件が思い出せない!!
こんな時に、論文を調べたりするととても時間がかかります。
「有機合成の定番レシピ」を参照すれば、短時間で反応を実施できるようになり、研究が大きくスピードアップします!
大学生、大学院生、企業の研究員など合成に関する研究をする人は、必ず手元の置いておきましょう。絶対に損はしません!
パラパラめくっているだけで、勉強になる
「有機合成の定番レシピ」には、汎用性が高く、合成研究を行う研究者であれば押さえておかなければならない反応が網羅されています。
反応の待ち時間などの時間があるときにパラパラめくってください。
パラパラと見るだけでも、各反応の特徴がわかり、とても勉強になります。
安い
「有機合成の定番レシピ」はこの情報量の割には破格の安さです。
同じようなコンセプトの本の「実験化学講座」を全巻購入すると、とんでもない値段になります。
値段がかなり安めなので、個人でも購入しやすいのは大変うれしいですね!
コンパクト
同じようなコンセプトの本の「実験化学講座」に比べて、「有機合成の定番レシピ」はサイズがコンパクトです。
サイズがコンパクトなので、机の上に置いておいても邪魔になりません。
有用な情報が詰まっているのに、コンパクトなので、是非、会社や研究室の自分の机の上において欲しい1冊です。
「有機合成の定番レシピ」のデメリット
私の感じていいる「有機合成の定番レシピ」のデメリットは1つだけです。
- 「実験化学講座」よりは情報量が少ない
「実験化学講座」よりは情報量が少ない
当然と言えば当然ですが、「有機合成の定番レシピ」は、「実験化学講座」に比べると記載されている反応の数が少ないです。
「実験化学講座」は冊数がとても多いので当然と言えば、当然です。
「実験化学講座」には現代ではあまり使われないような内容まで記載されています。
一方で、「有機合成の定番レシピ」には、現代の有機合成でも頻繁に使われる定番の反応に絞って記載されています。
汎用性・信頼性が高い反応に絞って記載されているので、有用性という点においては「有機合成の定番レシピ」は「実験化学講座」に引けを取らないと思います。
「有機合成の定番レシピ」がおすすめなひと
- 有機合成の実験に携わる人
- 有機合成初心者
有機合成の実験に携わる人
「有機合成の定番レシピ」は、有機合成を学ぶ大学生、大学院生はもちろん、仕事として有機合成を行う人、これらすべての人に持っておいて欲しい1冊です。
「有機合成の定番レシピ」を持っていいるだけで、日々の実験が今までよりスムーズに進むようになることを保証します。
有機合成初心者
「有機合成の定番レシピ」は、有機合成をはじめたばかりの初心者にも持っておいて欲しい1冊です。
暇なときにパラパラと見ているだけで、知識が深まります。
もちろん、実際に合成を行う際にも、ものすごく力になってくれます。
「有機合成の定番レシピ」のまとめ
「有機合成の定番レシピ」は、実際の研究の現場で大活躍する1冊です。
有機化学を学んでいる大学生、大学院生はもちろん、既に有機合成を仕事にしている研究者の人にも手元に1冊置いておいて欲しい本です。
この「有機合成の定番レシピ」があれば、日々の研究活動がスムーズに進むようになります。
実際に企業の研究員をしている私も、この本にどれだけ助けられたか数え切れません。
有機合成にかかわるすべての人に自信をもっておすすめできる1冊です!
- 定番の反応レシピが網羅されている
- 汎用性の高い反応を自力で行えるようになる
- 安くて、コンパクト
- 有機合成にかかわる人は持っておきたい1冊
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