有機化学では「反応機構」の理解が何よりも大事です。「反応機構」の問題集として最も有名なのは「演習で学ぶ有機反応機構」ですが、この本は「難易度」と「網羅性」が高すぎる故に次のような悩みが生じがちです。
- 問題数が多すぎて、1周終わる頃には、初めの問題は忘れていて知識が定着しない
- 重要な問題がどれかのかわからない
- 難易度が高すぎて、ほとんどの問題が解けない
有機反応機構を身に付けるには、「厳選された良問を何度も反復する」方が効率的です。「演習で学ぶ有機反応機構」は素晴らしい問題集なのは間違いありませんが、上記の点で使いにく場合もあります。
この欠点を解決できる素晴らしい「反応機構の問題集」があります。それが下記です。
この「有機化学 反応機構100」は、厳選された良問だけが掲載されており、反復練習しやすい良書です。有機化学の教科書を一通り読み終えた学部生・修士1年生には是非取り組んでもらいたい問題集です。
この記事では「有機化学 反応機構100」の概要などを解説します。
「有機化学 反応機構100」の概要
「有機化学 反応機構100」の特徴は次のようになります。
- 良質な反応機構の問題のみが厳選された反応機構の演習本
「有機化学 反応機構100」は厳選された100問の良問が収録された反応機構の問題集です。
たった100問の中に「重要な反応機構の考え方」が全て詰め込まれています。また、たった100問なので反復がやり易く、知識の定着が図りやすいといったメリットもあります。
「有機化学 反応機構100」をしっかり勉強して、反応機構の理屈を理解すれば、反応機構を描く力は十分に身に付き、初見の反応でも反応機構を予想できるようになります。
おすすめの人
以下に当てはまる人には「有機化学 反応機構100」がおすすめです。
- 有機化学の基礎事項を学び終えている人
- 反応機構の勉強を短時間で押さえたい人
- 大学院で有機化学を専攻している人
有機化学の基礎事項を学び終えている人
「有機化学 反応機構100」は反応機構が書かれただけで、各ステップでの説明は一切ありません。そのため、有機化学の基礎を学び終わっていない人では解き進めることができません。
基礎的な教科書で有機化学を一通り学び、「反応機構」とはどんなものかを把握できている人が対象です。特に、有機化学の教科書を一通り読み終えた、学部生・修士1年生には是非取り組んでもらいたい問題集です。
反応機構の勉強を短時間で押さえたい人
「有機化学 反応機構100」は、「反応機構を描く力」を身に付けるための良問のみが厳選された問題集です。たった100問しかないので、短時間で学習を完了することができます。
短時間で、「反応機構」の力をつけたい人にはおすすめの教材です。
大学院で有機化学を専攻している人
大学院で有機化学を専攻している人は、「有機化学 反応機構100」レベルの反応機構は確実に身に付けておくべきです。
大学院レベルの研究になると、しっかり反応機構を理解できていないと研究を遂行するの難しくなります。逆に「有機化学 反応機構100」をマスターできていれば、有機化学を研究を進めていけるようになります。
メリット
- 厳選された良問のみが収録されている
- ページ数が少ない
- Kindle Unlimitedで読める
- スマホで反応機構の勉強・復習をするのに最適
厳選された良問のみが収録されている
「有機化学 反応機構100」は反応機構を描く力を身に付けるための良問が100題厳選されています。たった100問なので反復練習がしやすく、知識が頭に定着しやすいです。
たった100問と聞くと網羅性に不安を感じるかもしれませんが、「有機化学 反応機構100」では厳選された100問の中に「反応機構の重要な考え方」が全て網羅されているので心配は不要です。
ページ数が少ない
本書はかなり薄い教科書です。薄いからこそ、知識の定着に不可欠な「周回」がやり易いです。
分厚い教科書だと、最後まで読み終わる頃には、最初の内容を忘れているといったことが起こりがちですし、周回も大変です。本書は薄いからこそ、反復練習や周回が容易で知識の定着が図りやすいです。ページ数は少ないですが、重要な反応機構はしっかり網羅できるので安心してください。
Kindle Unlimitedで読める
「有機化学 反応機構100」は「Kindle Unlimited」で読むことが可能です。
「Kindle Unlimited」に登録している人は、読んでみることをおすすめします。「Kindle Unlimited」は、月額1000円で有用な本をたくさん読むことができるので、登録することをおすすめします。
スマホでスキマ時間に反応機構の勉強・復習をするのに最適
「有機化学 反応機構100」は電子書籍でも販売されています。「Kindle Unlimited」に登録している人も電子書籍が読めます。
多くの本はスマホで読むと文字が小さくなりすぎて、読みにくくなりますが、本書はシンプルな構成で反応式が大きく書かれているので、スマホでも読みやすいです。そのため、電子書籍版をスマホに入れておけば、スキマ時間に反応機構の勉強・復習をすることができます。
復習した回数だけ知識が定着するので、スキマ時間にササっとスマホで復習できるのは嬉しいポイントです。スキマ時間を使って反応機構の勉強をしたい人はスマホに本書を入れておきましょう。
デメリット
- 詳細な解説がない
- アカデミックな研究者レベルには到達できない
詳細な解説がない
「有機化学 反応機構100」の解説は端的で、詳しい解説が書かれているわけではありません。そのため、全くの初学者には使いづらいと思います。
基礎的な教科書や講義で、有機化学をある程度学んでから本書を使用することをおすすめします。
アカデミックな研究者レベルには到達できない
アカデミックな研究者を目指すのであれば、さらに難易度の高い問題集に取り組むべきです。
アカデミックレベルまで到達したいのであれば、後に紹介する「演習で学ぶ有機反応機構」まで取り組んでおきましょう。
到達レベル
「有機化学 反応機構100」を学んだ後の到達レベルは次のようになります。
- 反応機構に関しては難関大の院試に合格できる
- メーカーの研究者レベル(メーカでの研究はやっていける)
反応機構に関しては難関大の院試に合格できる
大学院院試では必ず「反応機構」に関する問題が出題されます。「有機化学 反応機構100」を理屈からしっかり理解できておけば、難関大学であっても反応機構に関する問題に関しては、間違いなく合格点が取れます。
メーカーの研究者レベル(メーカでの研究はやっていける)
「有機化学 反応機構100」をマスターすれば、化学メーカで研究を行っていく力は十分に身に付きます。
企業での研究職を希望する人は、「有機化学 反応機構100」のマスターを目標にしましょう。
使い方
「演習で学ぶ有機反応機構」の基本的な使い方は次のようになります。
1問目の問題を解く
まずは、初めの問題から解いていきましょう。後に答え合わせができるようにノートや紙などに書きながら解いていきましょう。
答え合わせ
問題を解き終えたら、答え合わせをしましょう。答え合わせの際は、間違った問題は「なぜ間違ったのか」を確認しながら採点していきましょう。
解答が理解できなければ、教科書で調べる
2で答え合わせをしている際に、「なぜこの官能基に選択的に付加するのか?」や「なぜこの部位のプロトンが引き抜かれるのか」などが理解できない部分が出てくると思います。
そういった部分は、教科書(ウォーレン有機化学がおすすめ)で入念に確認しましょう。
ここをしっからいやらないと、単なる丸暗記になってしまい、応用の効く知識は身に付きません。必ず納得できるまで徹底的に調べましょう。
「ウォーレン有機化学」の詳細は、以下の記事で紹介していますので、是非ご覧ください。
同様の手順で最後の問題まで進める
同様の手順で最後まで進めましょう。わからいない問題は教科書で徹底的に調べ、納得できるまで考えましょう。
最初から周回する
1周終わったら、終わりではありません。もう1度最初から、周回しましょう。
2周目以降は、かなり短時間で周回できるようになっていると思います。最低でも3周はしましょう。
時々復習する
上記の手順で「」を学習し終えたら、1ヶ月に1回程度でいいので、定期的に復習するようにしましょう。知識は時間が経つと抜けていくので、時折復習を行い、知識を定着させましょう。
上記でも述べましたが、スマホに本書を入れて置けば、空いた時間に読み直すことができます。それだけでも十分な復習になります。
「有機化学 反応機構100」の次
「有機化学 反応機構100」を学習した後に、さらに力をつけたい人は下記の問題集に取り組んでください。
「有機化学 反応機構100」をマスターすればメーカーでの研究は十分に行っていける力が付いています。アカデミックな道に進んで自分の力で研究を立案し、論文を執筆できるようになる必要がある場合は、更に高いレベルの演習所に取り組んでおくべきです。
「演習で学ぶ有機反応機構」は反応機構の問題集としては最高難易度レベルです。アカデミックな研究者を目指す人はこの本でも勉強しておきましょう。
まとめ
この記事では「有機化学 反応機構100」を紹介しました。「有機化学 反応機構100」の概要をもう一度述べておくと下記のようになります。
- 良質な反応機構の問題のみが厳選された反応機構の演習本
この「有機化学 反応機構100」を使えば、重要な反応機構の考え方は全て網羅できます。
「反応機構」は有機化学の要です。本書を使って、有機化学の要を固めましょう。
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